新保険法について-2 (弁護士 中村美絵)
営業の人など)による告知妨害があったり、保険媒介者が不告知又は不実告知を勧めたり(教唆)した場合については、保険者は、保険契約の解除ができないことと明記されました(保険法28条2項、55条2項、84条2項)。
(2)保険給付の履行期に関する規定
従前の商法では、保険金の支払時期についての規定がありませんでした。しかし、保険法では、保険給付の履行期に関する規定を新設し、保険者が適正な保険給付を行うために必要な調査をするための合理的な期間が経過した後は、保険者は履行遅滞の責任を負うと定められています(保険法21条、52条、81条)。この規定により、支払の不当な遅延を防止しています。
(3)片面的強行規定
保険法では、保険契約者保護の要請の高い規定を中心に片面的強行規定を多数設けました。片面的強行規定とは、保険法の規定よりも契約者側に不利な約款や合意は無効とするというものです。ここでいう保険契約者保護の要請の高い規定の例としては、すでに紹介しました、告知義務違反による解除の規定や、保険金給付の履行期に関する規定等になります(保険法33条、26条等参照)。
前回から2回にわたり、新保険法について紹介させていただきました。新保険法は、いよいよ今年の4月から施行されます。新保険法の施行に伴い、保険に関するトラブルが減少することを期待したいものです。
【参考文献】
・法務省ホームページ http://www.moj.go.jp
・「新しい保険法の理論と実務」(別冊金融・商事判例 経済法令研究会)
・「保険法ハンドブック 消費者のための保険法解説」(日本評論社)など