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婚外子相続差別違憲決定の実務への影響(2)

弁護士 東重彦

平成26年6月20日更新

今回は、平成25年9月4日、最高裁判所大法廷裁判官が、全員一致で婚外子の相続分についての民法900条4号ただし書き(以下「本規定」といいます。)を違憲と判断した決定(以下「本決定」といいます。)が、今後の家庭裁判所の具体的事件処理にどのように影響するかをご説明いたします。

1 本決定の遡及効の及ぶ範囲
 本決定は、過去の最高裁の合憲判断を変更するものではないこと、本件の相続開始当時(平成13年7月当時ということです。)から本決定までの間の確定した相続に関する裁判や合意の効力には影響しないこと、をそれぞれ明言しています。
 例えば、相続人に婚外子が含まれている遺産分割調停事件について、既に遺産分割調停が成立したが、本件規定の有効性について錯誤があったことからかかる調停は無効とすべきであるとして、再度、調停事件が申し立てられても、解決済みとされ許されません。
 家庭裁判所に持ち込まれる事件について、相続が開始した時期、各事件申立までの法律関係の状態に応じて差異が生じますので、比較的馴染みのある遺産分割調停・審判事件を例に、どのように考えるべきかを以下ご説明いたします。

2 相続開始が平成12年9月末日(ここまでは最高裁の合憲判断があります)までの事件
 これら事件については、本規定の合憲を前提として協議・判断することになります。

3 相続開始が平成12年10月1日から平成13年6月末日までの事件
 これら事件については、本決定の効力は及びません。それ故、すでに合意・判断済みの事件については、解決済みのままです。これらが未了の事件は、当該相続開始時において本規定が違憲無効となっていたかを争点として、当該事件において争われることになります。

4 相続開始が平成13年7月1日から平成25年9月4日までの事件
 これら事件については、本決定の効力は及びません。それ故、すでに合意・判断済みの事件については、解決済みのままです。これらが未了の事件は、本規定が無効であることを前提として、すなわち、嫡出子と平等であることを前提として協議・判断することとなります。

5 相続開始が平成25年9月5日以降の事件
 これら事件については、民法の一部を改正する法律が平成25年12月5日に成立し、同月11日に公布・施行されたことにより、新規定が適用されることとなりましたので、新規定によって、すなわち嫡出子と平等であることを前提として協議・判断することとなります。
 以上
                                                                    

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