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家賃等弁済情報提供事業の規制と課題について−2

弁護士   東 重彦

平成22年5月14日更新


 今回は、前回ご紹介した法律案提出までの間の各種団体の意見・声明・対応等をご紹介した上で、望ましい家賃等弁済情報提供事業への課題を検討してみたいと思います。

1 各種団体の意見・声明・対応等
平成21年9月
一般社団法人全国賃貸保証業協会(Leasing Information Communicate Center、以下「LICC」といいます。)設立。

平成21年11月12日
日本司法書士連合会が、家賃滞納等のデータベース化の中止を求める会長声明を発表。

平成22年1月7日
埼玉弁護士会が、社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会の「中間とりまとめ」における賃借人(入居希望者)の家賃滞納等の信用情報のデータベース化等についての反対意見書を発表。

平成22年2月1日
LICCの運営する入居者の信用情報を一括管理するデータベースの運用が開始。

平成22年3月8日
日本弁護士連合会が、家賃等弁済情報提供事業に反対する会長声明を発表。

2 望ましい家賃等弁済情報提供事業への課題
 本稿執筆時において、「賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案」は原案通りで参議院国土交通委員会にて可決されました。
 同委員会での委員等の出席者の発言を含め、同事業者への課題の主なものは、以下のとおりです。
@ 家賃保証会社による安易な保証拒絶を回避する制度の確立
A データベースにおける家賃等弁済情報の保存期間の基準の設定
B データベース登録不同意者への不利益防止策の策定
C 滞納履歴のみならず弁済履歴までの提供義務の確保
D 悪質でない家賃滞納者の賃貸住宅市場からの締め出しの回避

3 まとめ
 家賃等弁済情報提供事業が賃貸住宅の安定供給に資するという側面は否定しがたいところであり、その整備に民間事業者が取り組むこと自体を禁止することは法律上大変難しいと思われます。
 ただ、一部の家賃保証会社による不適正な業務がなされてきたことによる同事業に対する批判は正鵠を射ています。
家賃等弁済情報提供事業者は、法律施行後はもとよりそれ以前においても、同法の立法趣旨を踏まえた運用をなすことが求められます。

 

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