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会社法関係のIT化
弁護士 東重彦
令和6年1月5日更新
リーガルトピックスにおいて、寺中良樹弁護士が2年にわたり民事手続きのIT化について執筆しています。司法におけるIT化については他にもいくつかの分野で進められているところですが、今回はそのうち、会社法関係についてのIT化を概観することとします。
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1 会社法のIT化と株式 |
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株式会社制度下において、株式会社の構成員は「株主」であり、株主と会社の様々な権利義務関係の総体が「株式」とされます。そして、この株式の保有者は誰か、権利関係の明確化、取引の円滑化といった会社法の目的を実現するために株式価値を表象した「株券」が利用されてきました。株券は、株式の権利関係の明確化や取引コストの縮減を図る機能を果たしてきたのです。
しかし、デジタルデータベースの発展により、株券制度のかかる機能は相対的に低下し、上場会社の株式については振替制度の適用により株券は廃止されました。IT化の特徴的な一例といえましょう。今後は、株主名簿の管理や(名簿上ではなく)実質的な株主は誰であるか等についてITの活用可能性が考えられます。
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2 会社法のIT化と株式総会 |
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株式会社制度下において、「株主総会」制度は、株主への情報提供を充実させ、株主による議決権行使を促進し、株主との対話機会を確保する機能を有する制度です。株主総会に関しては、招集手続と議決権行使の場面でIT化が進んでいます。
招集手続の場面においては、電磁的方法による招集通知が許容されたことに始まり、株主総会参考書類・事業報告・計算書類等の内容の一部のweb開示、一部上場会社における招集通知のweb開示義務化が進みました。今後は招集通知、参考書類のweb提供化は質量ともにさらに充実されることでしょう。
議決権行使の場面では、株主意思の効率的な行使を可能とし、その結果を正確に記録し、客観的に確保することが求められますが、書面投票制度・電子投票制度が導入され、その利用は急拡大しています。
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3 会社法のIT化と取締役会・取締役 |
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株式会社制度下において、「取締役会・取締役」制度は、情報伝達が適時適切に行われることにより会社の重要な意思決定が実効的になす機能を有する制度です。かかる機能を十全化するために、電子メール、テレビ会議システム、web会議システムが進化し、取締役会議事録の電磁記録化のためのツールが導入されIT化が進んでいます。
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4 まとめ |
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今般取り上げた分野以外にも会社法関連の多くの領域でITの利用が進んでいます。とはいえ、IT化にはサイバーリスクなどのマイナス面の増大もあることには注意が必要です。 |
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以上 |
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