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事業承継をお考えの方へ
弁護士 村上智裕
令和3年4月1日更新
- 事業の承継で注意が必要なのは -
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Q |
うちの会社も後継者への引継ぎを考えなければと思っている。どのような問題がある?
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A |
法的に言えば相続法と会社法の問題がある。事業承継するということは,事業に必要な財産と会社の経営権を後継者に譲るということだ。財産の承継には相続法が,経営権の承継には会社法が関係することになる。
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Q |
どういう段取りで考えたらいい?
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A |
先ず後継者を決めなければならない。相続人から選ぶのか,役員や従業員にするのか,第三者に事業自体を売却してしまうのか…
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Q |
幸い長男が跡を継ぐと言っているからそれに継がせたい。ただ,土地も株もほとんどが私の名義だ。
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A |
土地も株も対策なしに相続された場合,相続人すべての共有となる。対策を怠っていては,後継者以外の相続人の結託によって,後継者が事業用資産も経営権も奪われる結果にもなりうる。結局,事業承継対策は,後継者候補者とその他の相続人の調整を行うということだ。後継者には,議決権ある株式と事業用資産を,その他の相続人には,議決権のない株式と非事業用資産を承継する方法を考えなければならない。遺留分がポイントだ。
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Q |
遺留分とは?
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A |
兄弟姉妹以外の相続人は,相続財産の一部を法律上留保されている。なので自分の財産すべてを後継者に相続させようとしても,遺留分減殺請求権が行使されることで結局,共有状態になってしまう。事業承継を行うには後継者に事業用財産を相続させると同時に,他の相続人に対し,遺留分を侵害しない程度の財産を与えることが大事だ。
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Q |
財産はすべて会社に注ぎ込んできたからそこまでの財産はないよ。何か方法はないのかい?
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A |
遺留分を放棄してもらう方法や,事業用財産のうち重要資産についてはできるだけ早く贈与しておく方法が考えられる。「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」を利用する方法もある。詳しくは専門的な話になるので,興味があったら弁護士に相談するといい。
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以上 |
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