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民法改正~消滅時効~

弁護士 東重彦

令和元年10月1日更新

令和2年4月1日に民法のうち債権法の分野で改正法が施行されます。
今回は、そのうちの「消滅時効」に関する点についてご紹介いたします。

1 主たる改正点
 ① 短期消滅時効、商事消滅時効の廃止
 ② 消滅時効の起算点及び時効期間の見直し
 ③  損害賠償請求権の除斥期間を消滅時効期間へ
 ④ 消滅時効の中断事由・停止事由の見直し 
 以下、個別に説明いたします。

2 短期消滅時効、商事消滅時効の廃止
 改正前は、旧法170条から174条までに職種別の債権について、1年間から3年間といった短い消滅時効期間制度がありました。また、商事債権についても5年間の消滅時効期間制度がありました。
これらについてはいずれも廃止され「権利行使をできる時(客観的起算点)」から10年間に統一されました。

3 消滅時効の起算点の見直し
 「権利行使をできる時(客観的起算点)」から10年間という客観的起算点に加え、新たに「権利を行使できることを知った時(主観的起算点)」から5年という規定が加わりました。いずれかの期間の経過で消滅時効が完成することになります。

4 損害賠償請求権の除斥期間を消滅時効期間へ
 改正前は不法行為に基づく損害賠償請求権は20年で除斥期間にかかり権利行使ができないこととされていました。今回の改正は、20年間は「除斥期間」ではなく「消滅時効期間」であることとされ、「時効の中断・停止」を改めた「時効の更新・完成猶予」の規定により権利行使の機会が認められる余地があることとされました。

5 消滅時効の中断事由・停止事由の見直し
 改正前は消滅時効には、一定の事由により「中断」や「停止」が認められていました。今回の改正では、「完成猶予事由」と「更新事由」とに整理されました。前者は、本来の時効期間の満了時期を過ぎても、所定の期間が経過するまでは時効の完成を猶予するものであり、後者は、当該事由の発生により、時効期間がリセットされるというものです。

6 まとめ
 以上のとおり、主たる改正点をご紹介しましたが、ご紹介できなかった改正点も多数あります。また、当該債権が改正の施行日前に生じたか否かで改正前後のいずれの規定が適用されるかについては、当該債権発生の原因となる法律行為の時期により異なり得る点にも注意が必要です。

 以上
                                                                    

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