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民事再生と会社破産手続きは、企業が経済的に困難な状況に陥った際に利用される法的な再建・清算の手続きです。これらは企業の財務状況や再建の可能性に応じて選択され、再建が見込まれる場合には民事再生、再建が難しい場合には破産手続きが一般的です。
民事再生は、経営が破綻状態にあるものの、再建の見込みがある企業が裁判所の監督下で再生計画を作成し、債権者の同意を得ながら経営再建を図る手続きです。債務の一部を減免し、分割支払いや期間延長などにより財務の立て直しを行います。企業は再生計画の実行中も事業を継続できるため、事業価値を維持しながら債務整理を進められるのが特徴です。
主なプロセス
1.申立て:企業自身が裁判所に民事再生を申し立てる。2.財産保全処分:必要に応じて裁判所が財産保全処分を行い、資産を保護。3.債権者集会:債権者が集まり、再生計画案について審議。4.再生計画の認可:裁判所と債権者が再生計画案に同意すれば、認可される。5.再生計画の実行:計画に沿って、返済を行いながら事業を継続。
メリット
・事業継続が可能:営業活動を維持しつつ再建を目指せるため、従業員や取引先に与える影響が小さい。・債務減免:債務の一部が減免されるため、財務負担が軽減され、早期の経営再建が可能。・柔軟な返済条件:分割支払いや返済期間の延長が認められるため、キャッシュフローが安定しやすい。
デメリット
・債権者の合意が必要:再生計画案は債権者の同意がなければ実行できないため、交渉が必要。・監督の厳格化:裁判所や監督委員が関与するため、自由な経営判断が難しくなる。・コストがかかる:裁判所や専門家に支払う費用がかかるため、資金負担が発生。
会社破産は、企業の再建が難しいと判断された場合に、会社の資産をすべて清算して債権者に配当する手続きです。破産手続きにおいて、企業は営業を停止し、裁判所の選任する破産管財人が会社資産を管理・売却して債務を整理します。破産手続きは、会社を最終的に清算することを目的としているため、会社自体は手続き完了後に解散します。
1.申立て:企業または債権者が裁判所に破産を申し立てる。2.破産管財人の選任:裁判所が破産管財人を任命し、資産の管理・処分を行う。3.財産の換価:資産を現金化し、分配のための資金を確保。4.債権者への配当:資産を債権者に公平に分配する。5.破産終結と解散:全資産の分配が終了すると、会社は法的に解散する。
・債務が消滅する:破産手続き完了後、会社の債務がすべて消滅するため、債権者の追及が止む。・透明性の高いプロセス:破産管財人が裁判所の監督のもとで資産を管理するため、公平かつ透明な清算が可能。・速やかな手続き完了:再建を目的とせず、早期に手続きを完了し、債務を整理できる。
・会社が解散する:破産手続き完了後、会社は解散するため、事業を継続することは不可能。・取引先や従業員への影響が大きい:営業活動の停止や解散によって、従業員の解雇や取引先への影響が大きい。・社会的信用の低下:破産によって信用が損なわれ、関連企業にも影響が及ぶ可能性がある。
・民事再生は、再建の見込みがある場合に活用され、事業を継続しつつ債務整理を進められるため、会社の事業価値や雇用を維持できる点が魅力です。・破産手続きは、再建が難しい場合に適用され、債権者に公平な配当を行った後、会社を解散させることにより最終的な債務整理が図られます。
企業の財務状況や再建の可能性を踏まえて、適切な手続きを選択することが大切です。