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     弁護士 村上智裕

リーガルトピックス

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消費者庁発足とその対応-1
 弁護士 村上智裕

 

本年9月1日に発足した消費者庁が、積極的に情報発信を行っております。ここ最近報道された、「インフル用」マスクの効用、某メーカーのベビーカーの取り扱い方法、氷酢酸の使用方法等への注意喚起は、いずれも消費者庁発信の情報です。つい先日も、大手コンビニエンスストアに景品表示法違反があったとして、消費庁が再発防止を求める措置命令を出したというニュースが出ておりました。同社は、ホームページ上で10日間謝罪する一方、農林水産省に対しても経緯を報告していたとのことですが、消費者庁はそれでは「消費者への周知が不十分」と判断し、同措置に踏み切ったとのことです。また景品表示法は、もともと公正取引委員会の主管であったのが、消費者庁発足に伴い同庁に移管したものですが、同庁による同法違反の摘発は発足後初めて、とも報道されておりました。

消費者庁の概要や組織等の詳細については、同庁ホームページ(http://www.caa.go.jp/)で確認できますが、同庁設置のポイントを端的に述べれば、「消費者行政の司令塔となる専門庁を新規に設置した」ということになるでしょう。
「消費者の安全と権利を害するおそれのある事象」、こういった問題に対応するのが消費者行政です。

しかし、一言で「消費者の安全と権利を害するおそれのある事象」といっても、社会事情によって日々さまざまな態様で現れる問題を的確に捕捉していくのは容易ではなく、これまでの消費者行政は常に後手後手と言っていいものでした。事が起きてから、それぞれの監督官庁が、それぞれの権限と責任において、個別に対応を検討するというのが従前の消費者行政の姿であったと言えるかもしれません。
この状況の要因とされたのが「縦割り行政」であり、その打開策として新設されたのが「消費者行政の司令塔、消費者庁」です。
事業者の保護・育成を主な目的とする各監督官庁が、縦割りで、いわば派生的問題として取り扱う、これが従来の消費者行政の在り方でした。この在り方を、ダイレクトに「消費者の救済・保護」を目的とする専門庁を創設し、そこに消費者行政の司令塔機能を与えるという方式に変更する、これが消費庁設置の発想です。

冒頭のニュース、特に、「同社は、ホームページ上で10日間謝罪する一方、農林水産省に対しても経緯を報告していたが、消費者庁は『消費者への周知が不十分』と判断し、再発防止を求める措置命令を出した」という部分からは、消費者庁の役割やその意気込みが読み取れるといえるでしょう。

(次回に続く)

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