GLOBAL Law Office

コーポレートガバナンス・コンプライアンス

内部統制システムの整備

内部統制システムの整備は、企業や組織が業務を効果的かつ効率的に遂行し、不正やエラーを防ぎ、また法令遵守を確保するための仕組みを整えることを指します。特に、日本の企業では「会社法」や「金融商品取引法」に基づき、内部統制システムの整備が求められています。

内部統制システム整備の目的

業務の効率化

組織の目的達成に向けた業務の効率性と効果性を確保する。

信頼性のある財務報告の提供

投資家や株主に信頼性のある財務情報を提供し、適切な意思決定をサポートする。

コンプライアンスの確保

関連法令や規則、社内規定を順守し、不正行為や法令違反の発生を防止する。

資産の保全

資産が適切に管理され、不正や不適切な使用から守られていることを確認する。

内部統制システムの構成要素

内部統制は大きく5つの要素で構成されます。これはアメリカのCOSO(Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)によるフレームワークが一般的に参照されています。

統制環境

企業文化や経営者の方針など、内部統制システム全体の基盤となる要素です。経営者のリーダーシップや倫理観、組織構造、権限と責任の明確化などが含まれます。

リスク評価

組織が直面するリスクを識別し、評価するプロセスです。これにより、重大なリスクを特定し、管理体制を強化します。

統制活動

リスクに対して適切な対策を講じるための活動です。具体的には、承認手続きや職務分離、職務の相互牽制、システムのアクセス制限などが含まれます。

情報と伝達

適切な情報が適切な人に届くようにし、内部統制を確実に実施するための情報共有や報告体制を整えます。

モニタリング

内部統制が効果的に機能しているかを監視し、必要に応じて改善を図るプロセスです。内部監査や外部監査の実施も含まれます。

弁護士の関与

内部統制システムの整備において、弁護士は法的観点から組織のコンプライアンスやリスク管理をサポートし、システムが法令を遵守しつつ効果的に運用されるように重要な役割を担います。具体的な役割は以下の通りです。

コンプライアンス体制の強化

・弁護士は、組織が関連法規や業界の規制に従って活動できるよう、内部統制システムの法的側面を評価し、適切なガイドラインや社内規定を設けます。

・法律が変更された際や、新たな規制が追加された際には、これを反映するために内部規定を改定し、法令遵守を確実にする役割を担います。

リスク評価と管理

・内部統制の一環として、弁護士は法的リスクを評価し、そのリスクに対する対策を検討します。

・特に、契約の締結や取引先の選定、重要な業務プロセスにおけるリスク(労務リスク、個人情報の管理リスクなど)について法的観点からの助言を行います。

法務デューデリジェンス(DD)

企業が新たな事業に進出したり、合併・買収などを検討したりする際には、デューデリジェンスを実施します。弁護士は法的リスクや契約条件の確認、コンプライアンスに関する調査を行い、これに基づき適切な内部統制が整備されるようサポートします。

社内研修・教育

法令遵守や内部統制の意識向上のため、弁護士が従業員に対してコンプライアンス研修を行い、不正や法令違反の予防につながる教育を実施します。これにより、社員一人ひとりが内部統制の重要性を理解し、日常の業務に反映できるようサポートします。

内部通報制度の運用支援

弁護士は内部通報制度の設計や運用をサポートし、適切に通報が受理・調査されるように関与します。また、通報に基づく調査や是正措置についての法的助言を行い、通報者保護やプライバシー管理などに関しても適切な対応が行われるよう監督します。

不祥事発生時の対応

・万が一不正行為や法令違反が発覚した場合、弁護士は調査や証拠収集を行い、事実関係を明確にします。その後、是正措置や再発防止策を立案し、内部統制システムに組み込むサポートを行います。
・また、必要に応じて外部機関への報告や対応を行い、企業の信頼回復に向けた法的支援を行います。

弁護士の関与は、内部統制が単なる形式的なものではなく、実際に機能するための法的基盤を整える上で欠かせないものです。