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ホームページリースに関する最近の裁判例(1)

弁護士 水口哲也

平成25年4月15日更新

近年、消費者関連の法令が整備されるに伴い、増えている悪徳商法として、ホームページリース商法というものがあります。
本稿では、ホームページリースの説明、なぜ、増えているのか、それに対する最近の裁判例について説明していきたいと思います。

第1 ホームページリース商法
 ホームページリース商法と一言で言っても、その業者によって様々ですが、最も多い類型は、「販売店が、訪問販売や通信販売などで、中小個人企業に対して、ホームページ制作の無料サービスを謳い、そのホームページの制作ソフトを高額でリースする。リース商品自体は届くが、販売店はホームページ制作作業を行わない。リース商品であるため、リース会社との関係では中途解約できず、多額のリース料を請求され続ける」というものです。
 販売店は、リース商品であるホームページ制作ソフトを独自商品と謳っていますが、実際には市販の商品(数万円程度)とほとんど変りのないもので、リース代金(100万円から200万円)の価値とは乖離が大きいものです(このオリジナルソフトというのも曲者で、市販の商品と異なる商品を販売することで、客観的な商品的な価値を見えづらくしています。)。
 購入者としては、当然、ホームページ制作込みの料金と考えて契約するのですが、契約書上は制作ソフトやパソコン等のリースのみの契約になっており、実際に、ホームページ制作がほとんどなされないまま放置されるというものです。
 要するに、購入者が考えた契約と実際に調印された契約書との間に乖離があり、そこに既存の法律的なスキームに載せづらい部分があるのです。
 なお、概念的な話をすれば、本来、リースとは目的物を賃貸する契約であって、ホームページ自体を賃貸・賃借するということは考えられません。したがって、そもそも、ホームページリースという販売方法自体、非常に胡散臭いものなのです。
 ではなぜ、わざわざ「ホームページリース」などという言い方をするのでしょうか。それは、ホームページリースという難解な用語を駆使して、契約の本質を分かりにくくし、購入者を騙すために使用されているのです。

第2 なぜ増えているのか
 近年、消費者契約法の制定、特別商取引法の整備など、消費者関連の法律の法整備が進み、法的なスキームによって消費者被害に対応することが容易になってきました。
 その法整備の間隙を縫う悪徳商法がホームページリース商法です。
 消費者契約法においては、不実告知による取消等、悪徳商法に対する対応する規定が多数存在するのですが、消費者契約法は、購入者が消費者に限られるので、ホームページリースの購入者である事業者は含まれません。
 特定商取引法上のクーリングオフも悪徳商法に対抗する非常に強力な規定なのですが、やはり「事業のために行った」場合には対象外になりますので、ホームページ制作という事業のために行ったと認定されやすい事案においては、適用が難しいといえます。
 このように、特別商取引法や消費者契約法の適用の難しい事案が多いため、リース会社に対する請求が難しいと考えられてきました。
 また、販売店に対する請求についても、販売店が購入者から対価を得ていない(ホームページ制作費は無料)ことから、販売店自身に請求することも簡単ではないと考えられてきたのです。
 そのため、近時、ホームページリースの手口による悪徳商法が増加していると考えられます。 

第3 近時の裁判例
 だたし、ここ数年は風向きが変わりつつあります。幾つかの裁判例を紹介します。
1 購入者から販売店への請求を認めた裁判例
(1) 大阪地方裁判所判決平成23年9月9日
 事案は上にあげた例に非常に近いので大筋は割愛しますが、購入者が販売店・リース会社を訴えたところ、裁判所は、リース会社に対する請求を認めませんでしたが、販売店に対しては、同社がホームページの制作自体一応行ったと認定したうえで、以下のように、ホームページリース商法に詐欺的要素が含まれる危険性を指摘して、販売会社に一定の損害賠償責任を認めました。
「そもそも、ソフトウェア等の物品やホームページの作成等の役務は、その価値や有用性を一義的、客観的に評価することが極めて困難であり、市場における定価や標準価格が存在しないことも多く、これらをリース契約の目的物件とする場合、一般のユーザーがそれらの物品や役務の価値や有用性を適切に評価することができずに、対価の相当性についての判断を誤り、リース料が不当に高額なリース契約を締結してしまう危険性があることは否定できないと考えられる。」
「サプライヤーとしての立場でこのような本件加入行為を行う被告としては、原告らが本件リース契約による給付の内容を成す物品や役務の価値や有用性について十分検討することが可能になるように、リース契約の締結に先立ち、原告らに対し、原告らの負担するリース料との給付の内容をなす物品又は役務との対応関係のほか、それぞれの物品又は役務の内容、有用性、価値等を説明し、原告らがこれらを十分に検討した上で、契約締結の意思決定ができるように配慮すべき義務があったというべきであり、本件勧誘行為がそのような配慮を欠いていたものであった場合には、本件勧誘行為は、社会的相当性を著しく欠き、原告らの意思決定の事由を侵害したものとして、不法行為上の違法の評価を免れないというべきである。」
 以上のように、販売店に説明義務・配慮義務を認めて、損害賠償責任を認めました。
 ただし、この事案では5割の過失相殺を認めています。
 請求を認容した点で、注目に値する判決ではありますが、このような販売店の悪質性が高い事案において、過失相殺を認める点には疑問もあるところです。また、同裁判例では、結局、リース業者からの購入者に対する請求を認めている点でも問題が大きいと言えます。
 リース会社との法律関係については、次回のリーガルトピックスで説明します。

→(つづき) ホームページリースに関する最近の裁判例(2)
                                                                    

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