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民法改正~保証について~

弁護士 小西宏

2019年6月3日日更新

  契約など市民の法律関係を定めた基本的な法律が民法となりますが、その中で、債権関係の規定(契約等)は、明治29年(1896年)に民法が制定された後、約120年間ほとんど改正がありませんでした。その間、判例も積み重なり、社会・経済の変化に対応していない規定もあることから、今回、契約に関する規定を中心に見直しを行い、改正民法が公布されることになりました。
 今回の改正は、一部の規定を除き、令和2年(2020年)4月1日から施行されます。
 今回のリーガルトピックスは、民法改正の中でも、重要な改正点である“保証”について若干の解説をさせていただきます。

 1 根保証の見直し
  保証とは、主債務者が債務の支払をしない場合に、これに代わって支払をすべき義務のことをいいます。根保証とは、将来発生する不特定の債務(金額が定まっていない)の保証をいいます。
 改正前は、貸金等債務の根保証の場合に限り極度額(保証の上限額)を定めなければ、その根保証契約は無効とされていました。
 今回の改正は、根保証の極度額明示について貸金等債務以外にも拡大するものです。例えば、不動産の賃借人が賃貸借契約に基づいて負担する債務の一切を個人が保証する保証契約(普通は賃貸借契約書に連帯保証の規定があり、連帯保証人がその賃貸借契約に署名押印することで保証契約が成立します)についても極度額明示が必要となりました。つまり、今後は、賃貸借契約書において、賃借人の連帯保証人が賃借人の代わりに最大でいくら支払わなければならないのか定める必要があります。
 極度額を定めることにより連帯保証人は自分が一体いくらの債務を負うことになるのか把握できるとともに、連帯保証人となるかどうか適切な判断ができるようになります。
 また、主債務者の死亡や保証人の破産・死亡などの特別の事情がある場合の根保証の打ち切り(元本確定)については、今まで貸金等債務に限られていましたが、今回の改正によりこれが全ての根保証契約に拡大されました。ただし、主債務者の破産や強制執行等の申立ては貸金等債務では打ち切り事由となっていますが、今回の改正でも、他の根保証契約については、主債務者の破産や強制執行等の申立ては打ち切り事由とはなりませんでした。これは、根保証契約の典型である賃貸借契約における保証について、賃貸借契約は主債務者の破産によっても終了しないため、破産後の債務が保証されないとなると不都合となるからです。

 2 事業用融資における第三者保証の制限(公証人による意思確認手続の新設)
  改正民法では、事業用融資の保証契約は、公証人があらかじめ保証人本人から直接その保証意思を確認しなければ効力を生じない、という規定が新設されました(ただし、主債務者が法人の場合の取締役など例外はあります)。公証人により第三者が保証するに当たって十分に保証意思を確認させることで、安易に第三者が保証人となることを防ぐ趣旨です。

 3 情報提供義務
 その他に、改正民法では、
・主債務者による保証人への情報提供義務(財産や収支の状況などの情報)
・期限の利益喪失に関して債権者の保証人に対する情報提供義務
・主債務者の履行状況に関する債権者の情報提供義務
などが新設されました(詳しくお知りになりたい方は、法務省のウェブサイトなどをご参照ください)。

 以上
                                                                    

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